屋上防水工事とは?種類・費用・工程・経費計上方法をわかりやすく解説

「屋上にひび割れができてる!そろそろ防水工事をした方がいい?」
「防水工事ってどんな種類があるの?かかる費用は?」
「屋上の防水工事って修繕費に計上できる?」
こんな悩みを抱えていませんか?
屋上やベランダには、新築時から防水加工が施されていますが、時間が経つにつれて劣化していき、雨漏りのリスクが高まってきます。
雨漏りの発生を防ぐために、定期的な防水工事が必要です。
そこで今回は、屋上防水工事について次の内容を解説していきます。
- 屋上防水工事とは
- 屋上防水工事が必要となる劣化症状
- 屋上防水工事の種類
- 屋上防水工事の流れ
- 屋上防水工事の経費計上方法
「そろそろ屋上をメンテナンスしなくては…」と考えている方は、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。
屋上防水工事とは

屋上防水工事とは、建築物の屋上やベランダなどから雨水が浸入しないようにする為の施工手段です。
具体的な施工例としては、シート上の防水材を広げて貼り付ける方法や、液状の防水材を塗り付ける方法などがあります。
適切に防水処理をすることによって、建物内部の雨漏りを防ぎ、建物の耐久性を保つことができます。
屋上防水工事が必要となる5つの症状

屋上やベランダは、基本的に防水加工が施されている状態です。
しかし、雨や雪、紫外線などの影響で時間とともに劣化していき、防水の効果が薄れていきます。
屋上やテラスで次の症状が見られた場合、防水材が劣化しやすい状態なので、新たに防水加工を施す必要があります。
- ひび割れ
- 剥がれ
- 膨れ
- 水溜まり
- 雨漏り
それぞれの症状について、詳しく解説していきます。
症状①:ひび割れ
防水材が劣化すると、表面に小さなひび割れが発生します。
このひび割れが時間とともに大きく広がり、最終的には雨漏りを引き起こしてしまいます。
雨水が浸入すると、建物内部の腐食や建材の劣化を早める可能性があるので、早急な修繕工事が必要です。
症状②:剥がれ
経年劣化や施工不良によって、防水材が剥がれてしまうことがあります。
防水材が剥がれると、その部分の防水機能が完全に失われ、雨漏りが発生しやすくなります。
たとえ剥がれた部分が小さくても、放置すれば雨漏りのリスクはどんどん高まるので、剥がれを見つけたらすぐに業者に点検依頼をしましょう。
症状③:膨れ
水分や空気が防水層の下に溜まると、防水材が膨れてしまいます。
これは経年劣化によって生じた隙間から、水分が入り込んでしまったことが理由です。
防水材が膨れ上がると防水層が損傷しやすくなり、さらに溜まった水分が建物内部に侵入する恐れがあります。
膨れを見つけた場合は、早めにメンテナンスを行いましょう。
症状④:水溜まり
新築時の施工不良が原因で、屋上に水溜まりが発生するケースがあります。
屋上などのフラットな場所に水が溜めると、防水材に対する水分の負荷が増大し、結果的に防水材の劣化を早めてしまいます。
また、水溜まりができるとボウフラ(蚊の幼虫)が繁殖するので、早期に排水設備の見直しや改修を行うことが必要です。
症状⑤:雨漏り
雨漏りが発生した場合、屋上の防水システムは完全に機能していない状態です。
このまま放置すると、内部構造の腐食、靴路、カビの発生など、健康や安全に影響を及ぼす問題が発生してしまいます。
発見次第すぐに防水工事を行い、雨漏り問題を解決しましょう。
屋上防水工事の種類

ここからは、一般的な屋上防水工事の種類とそれぞれの特徴、費用を説明していきます。
ただし、工事費は地域や施工業者によって異なるため、具体的な費用は相見積もりをしてください。
種類①:ウレタン防水
ウレタン防水は、ウレタン樹脂素材の液体を塗り付けて水の侵入を防ぐ工事です。
特に、鉄筋コンクリートの建物やバルコニーなどで用いられます。
ウレタン防水のメリットは、あらゆる形状の場所でも使用でき、コストパフォーマンスが優れているところです。
しかし、デメリットとしては施工期間が長めであること、施工時の塗料の臭いが強いことが挙げられます。
中規模のマンション(屋上面積500㎡程度)のウレタン防水工事では、工事費用として約250〜375万円程度が目安とされます。
相場単価 | 耐久年数 |
---|---|
5,000~7,500円/㎡ | 8~10年 |
種類②:シート防水
シート防水は、主に塩化ビニールのシートを施工箇所に固定して水漏れを防ぐ工事です。
大規模なマンションや駐車場、地下室などの防水工事によく用いられています。
シート防水のメリットは、短期間で施工ができること、耐久性に優れている点です。
一方、施工箇所が複雑だと難しいことや、少しでもシートが切れたら水漏れしてしまうデメリットもあります。
中規模のマンション(屋上面積500㎡程度)のシート防水工事では、約200〜400万円の費用がかかると予想されます。
相場単価 | 耐久年数 |
---|---|
4,000~8,000円/㎡ | 10~15年 |
種類③:FRP防水
FRP防水は、FRP(ガラス繊維強化プラスチック)シートを敷き、その上にポリエステル樹脂を塗って硬化させる防水工事です。
ベランダや屋根、工場の床などと言った場所でよく施工されています。
FRP防水は軽量でありながら衝撃に強く、高い耐久性を持っている点が大きなメリットです。
一方で、FRP防水は紫外線に弱い特徴もあるため、5年ごとにトップコートを塗り替える必要があります。
中規模のマンション(屋上面積500㎡程度)のFRP防水では、工事費用の目安としては約300〜400万円になります。
相場単価 | 耐久年数 |
---|---|
6,000~8,000円/㎡ | 15~20年 |
種類④:アスファルト防水
アスファルト防水は、アスファルトを浸透させた防水シートと、液体状のアスファルトを組み合わせて防水層を作る工事です。
古くから存在する防水工法で、道路や駐車場、地下室などでも広く用いられています。
アスファルト防水のメリットは、耐用年数が長く防水性能が高いという点です。
デメリットは、溶けたアスファルトの臭いが強く出ること、熱を使用することで火災の危険性がある点が挙げられます。
中規模のマンション(屋上面積500㎡程度)のアスファルト防水では、約225〜400万円ほどかかると予想されます。
相場単価 | 耐久年数 |
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4,500~8,000円/㎡ | 15~25年 |
屋上防水工事の流れを5ステップで解説

屋上防水工事は、主に次の流れで行われます。
なお、具体的な工程は施工方法によって多少異なるので、詳しくは専門業者にお問い合わせください。
ステップ①:高圧洗浄
まず高圧洗浄で屋上の汚れ、コケなどを取り除き、コンクリートをきれいに清掃します。
砂やほこりなどを全て取り除くことで、防水材の密着率が高まり、防水機能を長期間機能することができます。
ステップ②:下地処理・下塗り
古くなってひび割れたコンクリートを補修したり、痛んだシーリング(建物の隙間を埋める材料)を撤去します。
また、建物に元々ある下地(防水層)を補修、場合によっては撤去するなどの下地処理を行います。
下地処理が終わったら、糊の役目を果たすプライマーを塗布していきます。
ステップ③:防水シートの貼り付け・脱気筒の取り付け
防水シートを専用のテープで貼り付けます。
風に強く頑丈であるため、雨漏りやひび割れも防いでくれます。
また、この時に脱気筒も取り付けなくてはいけません。
脱気筒を取り付けることで、防水層と下地のあいだに発生する水蒸気を排出することができます。
これにより、防水材の膨れを防止することが可能です。
ステップ④:防水層の形成
下準備が終わったら、「ウレタン防水」「シート防水」「FRP防水」「アスファルト防水」のいずれかの方法で、防水層を形成していきます。
ステップ⑤:トップコート
最後は、トップコートを塗り重ねます。
塗料が剥がれたり、シートの隙間から水分が入り込まないようにするためです。
最終確認が行われたら、屋上の防水工事はこれで完了です。
【マンションのオーナー様向け】屋上防水工事の経費計上方法

防水工事を修繕費として計上して、節税対策をしたいと考えているオーナーは多いと思います。
結論から言うと、次の条件のうちひとつでも当てはまれば、修繕費と認められます。
- 工事費用が20万円未満である
- かかった費用が20万円未満だった場合、修理費と認められる
- 工事周期が3年以内である
- かかった費用が20万円以上でも、工事周期が3年以内の場合は修理費になる
- 工事する目的が「維持管理」「原状回復」である
- 工事の目的が上記に当てはまる場合は、基本的に修繕費となる
- 工事費用が60万円未満である
- 工事の目的が明確にならない場合、費用が60万円未満であれば修繕費と認められる
- 工事費用が、固定資産の前年末の取得価額のおよそ10%以下である
- 4で工事費用が60万円以上の場合、修繕費が前期末取得価額の10%以下であれば、修繕費となる
これらの条件は、国税庁が定めた判定基準です。
行った防水工事が全てに当てはまらない場合、かかった工事費用は「資本的支出」として計上されます。
ただし、区別が難しい工事案件もあるため、その場合は税理士に相談することをおすすめします。
屋上防水工事についてよくある質問

ここからは、屋上防水工事についての質問に回答していきます。
Q1.屋上防水工事は何年ごとに行うといいですか?
A.10年ごとに行うと効果的です。
Q2.信頼できる防水工事業者の特徴を教えてください
A.次の特徴に当てはまる業者は信頼できます。
- 防水施工技能士の資格を保有している
- 契約を急かさない
- 保証がメーカーと連名している
- 安全対策がしっかりしている
- 担当者が工事内容を理解している
詳しくは、こちらの記事で解説しています。
(※記事「防水工事の基礎知識|工事の目的や種類などをわかりやすく解説」につなげます)
Q3.DIYとして自分で防水工事をすることはできますか?
A.DIYによる防水工事は可能ですが、専門的な知識がないと防水層の劣化が進行してしまいます。
そのため、防水工事は専門家に任せることを推奨します。
まとめ|屋上防水工事を行って雨漏りを防ごう
それでは最後に、本記事のおさらいをしましょう。
- 屋上防水工事とは、屋上から雨水が浸入しないようにする為の工事
- 屋上でひび割れや膨れを見つけたら防水工事を行う必要がある
- 防水工事は、ウレタン防水やシート防水など4種類ある
- 工事の目的が「維持管理」「原状回復」なら修繕費に計上できる
屋上防水工事を定期的に行うことで、雨漏りのリスクを減らすことができます。
劣化症状を見つけた方、メンテナンス時期が近づいてきたという方は、ぜひ防水工事を検討してください。
また、屋上防水工事に関するご質問やお悩みがあれば、当店YAMATOが解決いたします。
いつでもご相談を承っているので、お気軽にお問い合わせください。
— YAMATO社長 矢田からのメッセージお客様とのお付き合いは、施工が完了してからと考えております。
お一人お一人丁寧に対応させていただきます。